2024年8月1日に予定されていた車検におけるロービーム検査の全面移行は、一部地域で2年延期されます。
国土交通省、自動車技術総合機構、軽自動車検査協会は5月14日、自動車検査(車検)における前照灯審査について、8月から予定していた「全車すれ違い用前照灯(ロービーム)計測」の運用を関東など一部地域で2年ほど延期すると発表しました。
ロービーム審査、全面移行へ
車検での前照灯(ヘッドライト)の審査は、原則として全車すれ違い用前照灯(ロービーム)で計測していますが、2017年9月から過渡期取扱として「ロービームでの計測」が不合格になった場合、「走行用前照灯(ハイビーム)での計測」を行うことで、保安基準適合の合否判定が認められていました。
しかし、周知開始から5年が経過し、審査体制の整備が完了することから、国交省では2024年8月1日以降、過渡期の取扱いが見直されます。
2024年8月1日から、対象自動車の前照灯の審査について、全車、ロービーム計測のみで基準適合性審査を実施されます。しかし、ロービーム審査の全面移行が、一部地域で2年延期が決定しました。
2026年8月までに地域ごとに順次移行
【2024年8月から完全移行(延期無し)】北海道・東北・北陸信越・中国
【2026年8月から完全移行(2年延期)】関東・中部・近畿・四国・九州・沖縄
延期の理由
ロービーム審査の全面移行が、一部地域で延期された理由として以下の理由が考えられます。
●周知期間が短かったこと
ロービーム検査への移行に関する周知期間が短いと、多くの車検整備事業者やドライバーが準備不足に陥る恐れがあります。
特に、地方や高齢者ドライバーが多い地域では、情報収集や対応が遅れる可能性が高く、円滑な移行を阻害する要因となりました。
●年式・車種によっては対応が難しい車両があること
1998年9月1日以前に生産された車両の中には、ロービーム検査に対応していないものや、検査機器との相性問題があるものがあります。これらの車両は、検査自体が困難になるだけでなく、検査基準を満たすための調整作業にも時間と費用がかかります。
こうした状況を考慮し、特に古い車種が多い地域では、移行時期を延期することが必要と判断されました。
●整備事業者からの意見
ロービーム検査には、ハイビーム検査とは異なる専用の検査機器や技術が必要となります。短期間で多くの整備事業者が設備投資や技術習得を行うことは困難であり、検査体制の整備に時間がかかります。特に、地方では整備事業者の数が少なく、移行時期を早めると検査待ち時間の増加やサービス低下を招きかねない懸念がありました。
<参考:国交省 https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000324827.pdf>