大阪・関西万博、「ダイナミックプライシング」と「ETC」の組み合わせで日本初の渋滞緩和策

2025年4月13日に開幕する「大阪・関西万博」(会期:2025年4月13日~10月13日)では、来場者のスムーズな移動を実現するため、画期的な渋滞緩和策が導入されます。それは、「ダイナミックプライシング」と「ETC(自動料金収受システム)」を組み合わせた、日本で初めての試みです。
「万博P&R(パークアンドライド)駐車場」
P&R(パークアンドライド)とは、出発地からは自動車を利用し、途中で電車やバスなどに乗り換えて目的地まで移動する方式です。
万博会場へのマイカー乗り入れは原則禁止されており、自家用車利用者は事前に予約が必要な「万博P&R(パークアンドライド)駐車場」を利用し、そこからシャトルバスに乗り換えて会場へ向かうことになります。この「万博P&R駐車場」において、阪神高速道路株式会社と連携し、混雑状況に応じて利用料金が変動する「ダイナミックプライシング」が導入されます。

(引用元:阪神高速道路「ダイナミックプライシングへの協力」より)
なぜダイナミックプライシングなのか?
その目的は、来場者需要の平準化を図り、万博会場周辺や阪神高速道路の交通集中を緩和することにあります。料金を変動させることで、混雑が予想される日時や場所の利用を抑制し、比較的空いている時間帯や駐車場への利用を促します。
料金はどう変わる?変動の仕組み
ダイナミックプライシングの対象となるのは、「万博P&R駐車場利用料」と「P&Rシャトルバス利用料」を合わせた「万博P&R利用料金(基本料金:5,500円/台)」です。
混雑状況や利用条件に応じて、以下のように料金が変動します。
- ・繁忙期:料金が500円値上げ
- ・閑散期:料金が500円値下げ
- ・混雑時間帯:料金が500円値上げ
- ・迂回利用者:料金が500円値下げ
- ・会場から遠い駐車場(尼崎・堺P&R駐車場):料金が500円値下げ
- ・阪神高速の指定出口を利用しない場合:料金が1,000円加算

(引用元:阪神高速道路「ダイナミックプライシングへの協力」より)
車種区分は「自家用車、自動二輪車、自転車、バス」の4区分とし、万博P&R駐車場利用者(自家用車、自動二輪車)に限りP&Rシャトルバスが利用できます。
ETC連携によるメリット
今回の渋滞緩和策の大きな特徴は、「ETCシステム」との連携です。阪神高速の指定出口を利用したり、迂回ルートを選択したりした自家用車利用者に対して、「万博P&R利用料金」が割引されるインセンティブが設定されています。
阪神高速の指定出口および迂回利用の判定は、駐車場予約時に登録された車番(ナンバープレート番号)と、ETCチェックポイントの通過履歴を照合することで行われます。
「万博P&R駐車場」予約時にETC情報を入力し事前決済を行うと、その予約情報が阪神高速へ連携され、指定出口とゲートでのETC情報読み取りにより割引条件が満たされた場合、後日割引料金で精算されます。

(引用元:阪神高速道路「ダイナミックプライシングへの協力」より)
ダイナミックプライシング導入による想定効果
万博P&R利用料金へのダイナミックプライシング導入により、料金変動を通じて来場者の利用日時や駐車場所の分散を促し、阪神高速道路中心部や舞洲といった会場周辺における交通の集中を緩和することで、渋滞や混雑の軽減に繋がることが期待されます。
<万博会場周辺>
・舞洲「万博P&R駐車場」のピーク時需要量:1,366台/時 → 1,165台/時(最大約15%減少)
<阪神高速中心部>
万博交通による渋滞長延伸量
・13号東大阪線:約3km → 約2kmへ(最大約30%減少)
・11号池田線:約1.2km → 約0.3kmへ(最大約75%減少)

(引用元:阪神高速道路「ダイナミックプライシングへの協力」より)
渋滞緩和策としてダイナミックプライシングとETCシステムを組み合わせた日本初の試みが、大阪・関西万博期間中の交通状況にどのような変化をもたらすのか、その結果に注目が集まります。
<引用:阪神高速株式会社
https://www.hanshin-exp.co.jp/drivers/expo/>