高速道路の深夜割引見直し、再び延期へ – ETC障害が影響し開始時期は未定に

2025年5月29日

NEXCO東日本、中日本、西日本の3社は5月28日、今夏7月に導入を予定していた高速道路料金の深夜割引見直しについて、運用開始時期を再度延期すると発表しました。これにより、新制度の導入時期は未定となります。当初の2024年度末の計画から、今回で2度目の延期となります。

ETCシステム障害が延期の引き金に

今回の再延期の主な理由は、NEXCO中日本管内で4月6日〜7日にかけて発生した広域的なETCシステム障害です。この障害により、東名高速や中央自動車道など17路線でETCが利用できなくなる事態が発生しました。

これを受け、高速道路会社は、4月18日に広域的なETCシステム障害発生時の危機管理検討委員会を設置し、障害の原因究明や再発防止策等の議論を進めています。
深夜割引見直しの運用開始時期については、現在、工程の見直しが行われているものの、システム整備が一時中断されていることなどから、令和7年7月頃からの運用開始は困難と判断されました。

深夜割引の見直し概要と目的

見直しが予定されていた深夜割引は、現行の「午前0時から午前4時までの間に少しでも走行すれば全区間3割引き」という制度から大きく変更されます。

変更後の主な内容は以下の通りです。

  • 対象時間の拡大:22時~翌5時へと拡大
  • 割引対象の変更:深夜割引の適用時間帯に走行した分のみ3割引
  • 長距離利用の割引率拡大:400kmを超える長距離利用の割引率を拡大

この見直しの目的は、料金所付近での割引待ちによるトラックの渋滞を抑制し、トラック運転手の労働環境改善に貢献することです。国土交通省が2023年に方針を示し、NEXCO3社は走行距離を把握するためのアンテナ設置など、新たな料金徴収システムの構築を進めてきました。

今後の見通し

NEXCO3社は、システム整備の再開状況を含め、運用開始時期の見通しについて後日改めて発表するとしています。当面の間は、現行の深夜割引が維持されます。
今回の再延期は、新システムの複雑なデータ処理や、ETCシステム全体の安定性確保の重要性を浮き彫りにする形となりました。

<引用:NEXCO東日本
https://www.e-nexco.co.jp/news/important_info/2025/0528/00014991.html