車の運転中も熱中症に要注意!見落としがちな“車内の危険”

2025年6月19日

6月に入り、すでに真夏のような暑さを感じる日が増えてきました。近年では、車内のエアコンを使い始める時期が年々早まっていると感じる方も多いのではないでしょうか。このような暑さは、私たちの体調や運転にも大きな影響を及ぼす可能性があります。特に注意したいのが、運転中の熱中症リスクです。

運転中にも起こりうる熱中症

熱中症は屋外での運動や作業中に起こるイメージが強いですが、実は車の運転中でも十分に発症する可能性があります。「車内でエアコンを使っているから大丈夫」と思いがちですが、実際には運転中でも熱中症になるリスクは潜んでいます。

車内温度の急上昇に要注意

車内では、直射日光だけでなく、路面やアスファルトからの反射熱(輻射熱)も影響します。これらの熱は車内に入り込み、外気温以上に車内温度を上昇させる要因となります。たとえエアコンを使用していても、直射日光や輻射熱によって体温が上がりやすくなるため、注意が必要です。
また、外気温がそれほど高くなくても、駐車中の車内は短時間で高温になることがあります。炎天下に停めた車内は、ダッシュボード上で80℃、車内全体でも50℃近くになることがあり、乗り込んだ直後の環境は非常に危険です。

自覚しにくい「脱水症状」

運転中、「トイレが近くなるから」と水分を控えてしまうドライバーは少なくありません。しかし、車内はエアコンの影響で想像以上に乾燥しており、気づかないうちに体の水分がどんどん失われていきます。そのままでは、知らぬ間に脱水症状が進行し、熱中症のリスクが一気に高まってしまいます。
脱水は自覚しにくいもの。だからこそ、「喉が渇いた」と感じる前に、こまめな水分補給を心がけることが、熱中症を防ぐためにはとても重要です。

体調不良を感じたらすぐに休憩を

「なんとなく頭がボーッとする」「めまいや顔のほてり」といった症状は、熱中症の初期サインかもしれません。異変を感じたら、すぐに安全な場所に停車して休憩をとりましょう。

  • ・シートベルトを外し、座席を倒して体を楽にする
  • ・こまめな水分補給を行う
  • ・涼しい場所で休む
  • ・冷えたペットボトルなどで首や脇の下を冷やす

こうした対応で回復することもありますが、症状が改善しない場合や意識障害がある場合はすぐに救急車を呼ぶなどの対応が必要です。自分一人での判断が難しいと感じたら、家族や職場に連絡を入れることも大切です。

心理面にも及ぶ暑さの影響

暑さは体調だけでなく、私たちの精神状態や判断力にも影響します。高温下ではイライラしやすくなり、運転中の攻撃的な行動や判断ミスを引き起こす可能性も。周囲のドライバーも同様の状態にあるため、無理な運転やあおり運転に巻き込まれないよう注意が必要です。

車内温度を効率よく下げる方法

車内の温度を効果的に下げるには、以下の方法がおすすめです。

  • 1.まずは空気の入れ替えを
    助手席側の窓を開け、運転席のドアを数回開け閉めして、車内の熱気を外に押し出します。
  • 2.走行しながら熱気を排出
    窓をすべて開けた状態で、エアコンを「Lo(最低)」設定にし、外気導入に切り替えて数分間走行します。これにより、こもった熱を効率よく逃がせます。
  • 3.涼しい空気を循環させる
    車内の熱気が抜けたら、窓を閉めてエアコンを内気循環モードに変更し、冷たい空気を効率よく車内に行き渡らせましょう。

さらに、駐車時はサンシェードの使用・日陰への駐車・窓を少し開けるなどの工夫で、車内温度の上昇を抑えることができます。

例年、熱中症のピークは7月〜8月ですが、今年は6月〜8月にかけて全国的に平年より高い気温が予想されています。体がまだ暑さに慣れていない時期に、急な気温や湿度の変化が重なると、熱中症のリスクはぐんと高まります。
体調管理はもちろん、「まだ夏本番じゃないから大丈夫」と油断せず、今の時期からしっかり備えることが大切です。

<引用:一般財団法人日本気象協会「熱中症ゼロへ」
https://www.netsuzero.jp/learning/le16