ETCシステム障害、NEXCOが「再発防止策・危機対応マニュアル」を発表 – 無料化判断基準も明確化

2025年6月26日

NEXCO中日本は、2025年4月に発生した大規模なETCシステム障害を受け、同様の事態の再発を防ぐための「再発防止策」と「危機対応マニュアル」を発表しました。これらの対策案は、NEXCO東日本・西日本を含む3社が参加する「広域的なETCシステム障害発生時の危機管理検討委員会」において協議され、2025年6月23日に了承されました。

背景と問題点

2025年4月6日から7日にかけて、NEXCO中日本管内で発生したETCシステム障害により、約38時間にわたり料金所で正常なETC課金処理ができなくなりました。この障害により、多くの車両が料金所で渋滞し、通行料金の徴収方法に混乱が生じました。
その原因として、広域的なETCシステム障害に対応するマニュアルがなかったことが挙げられます。当初は料金所において後日精算の対応が取られたことで渋滞が発生し、その後、料金を徴収しない方針に切り替えたことにより、利用者にさらなる混乱を招く結果となりました。

再発防止策の基本方針と対応策

広域的なETCシステム障害が発生した際の基本方針では、「交通の流れを止めないよう現場で即時に対応すること」、そして「料金徴収に必要な情報を把握できず、円滑な料金の徴収が困難な場合には徴収しないこと」が明確に示されています。

具体的な対応策としては、渋滞を発生させないために料金所のバーを開放するほか、対策本部に情報担当者を配置し、HPやSNS・道路情報板など複数の媒体を活用して利用者に情報提供が行われます。さらに、迅速な判断と指示が可能となる本部体制の整備に加え、外部機関との情報共有体制や、24時間対応可能な連絡体制、早期復旧体制も確立されます。

基本方針・対応策

(引用元:NEXCO「再発防止策」より)

本部体制の構築と判断のタイミング

広域的なETC障害が疑われる段階で本部体制が整備され、状況に応じて責任者がレーン運用の指示を行います。広域的なETCシステム障害は、同一支社管内の2カ所以上の料金所で、30分間に10台以上の異常停止車両が発生した場合を目安に判断され、この段階で料金所では緊急対応が実施されます。

基本方針・対応策

(引用元:NEXCO「再発防止策」より)

供用約款の見直し

供用約款がシステム障害に対応する形で見直され、「ETCシステム障害などで、円滑な料金徴収が困難な場合は徴収しないこと」、そして、これまでは物理的な瑕疵の想定のみでしたが、「システム障害も瑕疵とみなされ、損害が発生した場合は賠償の対象となり得ること」が追加される方針です。

基本方針・対応策

(引用元:NEXCO「再発防止策」より)

再発防止策と今後の運用

NEXCOは、新たに策定したマニュアルや方針が円滑に運用されるよう、社内体制や必要な準備を進めており、2025年7月1日から本格的に運用を開始する予定です。

この新しい体制が整うことで、万が一広域的なETCシステム障害が発生した場合でも、システム復旧にかかる時間に関わらず、早期の料金徴収停止(無料開放)を迅速に判断し、実施することが可能となります。これにより、料金収受に伴う混乱や渋滞を早期に解消し、利用者の利便性を最優先にした対応が提供されます。

NEXCO「再発防止策」(PDF)
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/2025_crisis-management_etc/pdf/2025_crisis-management_etc08.pdf

NEXCO中日本「広域的ETCシステム障害発生時の危機対応マニュアル」(PDF)
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/2025_crisis-management_etc/pdf/2025_crisis-management_etc09.pdf

引用:NEXCO中日本
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/2025_crisis-management_etc/