ロードキル──もし道路で野生動物に遭遇・衝突したら?ドライバーが取るべき対応

近年、全国各地でシカやタヌキ、イノシシ、クマなどの野生動物が道路に現れるケースが増えています。山間部だけでなく、市街地近くでも見かけることがあり、ドライバーにとっても身近なリスクとなっています。動物の飛び出しや衝突は大きな事故につながるおそれがあります。
一般道や高速道路で野生動物に遭遇したり、衝突してしまった場合は、どう対処すればよいのでしょうか。
ロードキルとは
「ロードキル」とは、道路上で車などにひかれて野生動物が命を落とす事故のことです。道路が動物の生息地を分断してしまった結果、動物が道路を横断せざるを得なくなり、車両との衝突が発生するのが主な原因です。
日本では年間十数万件以上のロードキルが発生しているとされ、シカやタヌキ、キツネなどが特に多く報告されています。
ロードキルを防ぐための対策
ロードキルの発生を防ぐため、野生動物の生息域に近い高速道路などでは、動物の侵入を防ぐ防止柵の設置や、安全に移動できるアニマルパスウェイの整備といった対策が進められています。
また、野生動物が出没しやすい道路には「動物が飛び出すおそれあり」という警戒標識が設置されており、地域によってシカ、タヌキ、サル、キツネ、ウサギなど、さまざまな動物の絵柄が描かれています。
この標識を見かけた際は、速度を落として周囲をよく確認し、慎重に運転しましょう。特に夜間や早朝は動物の活動が活発になるため、ハイビームを活用して視認性を高めることが有効です。

一般道・高速道路で野生動物に遭遇したら
運転中に野生動物を見かけた場合は、急ハンドルや急ブレーキを避け、落ち着いて行動することが重要です。急な操作はスリップや他車との衝突を招く危険があります。
また、クラクションを鳴らすと音に驚いた動物が興奮して暴れたり、予測できない動きをするおそれがあるため控えましょう。動物が進行方向にいる場合は、減速して安全を確保し、通り過ぎるのを待つようにしてください。
高速道路では速度が早いため、衝突時の被害が大きくなります。やむを得ず衝突を避けられない場合、無理にハンドルを切らず、できる限り直進姿勢を保つことが乗員の安全につながります。
野生動物と衝突してしまった場合の対応
シカ、タヌキ、キツネなどの野生動物と衝突してしまった場合は、まず落ち着いて行動することが大切です。
最初に車を安全な場所(路肩など)に停め、ハザードランプを点灯して後続車に注意を促します。可能であれば三角表示板を設置するなどして、二次事故を防ぎましょう。
警察へ連絡する
道路交通法第72条に基づき、野生動物との衝突も「交通事故(物損事故)」として警察への報告義務があります。事故の場所や車両の損傷状況、負傷者の有無などを伝え、警察の指示に従ってください。任意保険を利用する際には「交通事故証明書」が必要となるため、通報を怠ると保険が使えなくなる場合があります。
動物の状態を確認
野生動物が負傷して動けない場合、そのまま道路に放置すると、後続車の事故など二次被害につながるおそれがあります。そのため、きちんと対応することが大切です。ただし、野生動物に安易に触れると、感染症などの危険があります。一般道では、市役所や保健所、動物病院や保護施設に連絡し、指示を仰ぎましょう。高速道路の場合は、管理団体や道路緊急ダイヤル「#9910」(全国共通・無料)に通報してください。
また、クマなどの大型動物に遭遇した場合は、まず自分や同乗者の安全を最優先にしてください。絶対に車外へ出ず、ドアと窓を閉めて車内で安全を確保し、警察に連絡して指示を仰ぎましょう。
野生動物との衝突事故(ロードキル)は、誰にでも起こり得る身近なリスクです。万が一遭遇した場合は、慌てずに「安全確保」「警察への通報」「関係機関への連絡」を徹底し、冷静に対応しましょう。