【2026年厳格化】重量超過車両の「刑事告発」「違反者公表」が相次ぐ——車両制限令違反で法人が失うもの

重量超過への対応が明らかに厳格化——2026年8月に相次いだ2つの発表
2026年8月、高速道路会社から重量超過車両(車両制限令違反)に関する発表が立て続けに公表されました。8月7日にはNEXCO東日本 関東支社が、重量超過車両の運転手を刑事告発したことを発表。さらに8月12日にはNEXCO西日本が、繰り返し道路法(車両制限令)に違反した事業者への是正指導内容の公表を行いました。
「警告」にとどまらず、事業者名の公表や刑事告発という踏み込んだ措置が続いており、トラック・トレーラを運行する法人にとって、積載管理はこれまで以上に重要なコンプライアンス課題となっています。本記事では、告発事例の内容と違反時のペナルティ、車両管理担当者がとるべき対策を整理します。
告発事例:制限値の2倍超、総重量60.1トンのセミトレーラ
NEXCO東日本と日本高速道路保有・債務返済機構(高速道路機構)が連名で告発したのは、E4東北自動車道 下り線の浦和本線料金所で確認されたセミトレーラの重量超過です。発表によると、違反の内容は次のとおりです。
告発対象となったのは、2024年12月にE4東北自動車道 下り線の浦和本線料金所で確認されたセミトレーラの重量超過です。
- ・車両総重量は60.1トン(一般的制限値25トンの約2.4倍)
- ・特殊車両通行許可は32.95トンまで受けていたが、実際にはそれを大幅に上回る重量で運行
- ・道路法第47条第2項違反として、同法第104条第1号に基づき告発
通行許可を取得していても、許可された重量を超えて運行すれば違反となります。本件は許可重量32.95トンの約1.8倍、一般的制限値の約2.4倍という大幅な超過であったことから「極めて悪質」と判断されました。
なぜここまで厳しいのか——軸重20トン車1台=10トン車4,000台分の影響
重量超過が厳しく取り締まられる理由は、道路構造物への影響の大きさにあります。NEXCO東日本によると、軸重20トンの車両1台が橋梁に与える影響は、軸重10トンの車両約4,000台分に相当するとされています。重量超過車両の走行は橋梁の劣化を急速に進め、道路の安全性を脅かすだけでなく、落下物や事故の危険にも直結します。
NEXCO東日本は「車両制限令等違反取締隊」を組織し、料金所などでの取締りのほか、違反者への文書警告や講習会への招請といった多層的な対応を実施しています。

(引用元:NEXCO東日本)
違反を繰り返すとどうなるか——段階的に重くなるペナルティ
高速道路機構と各高速道路会社は、車両制限令違反に対して段階的な措置を設けています。
- ・警告書の発行:重大な違反行為を行った運行会社等に警告書を発行
- ・是正指導:繰り返し違反した運行会社等に是正指導を実施
- ・是正指導内容の公表:改善が見られない場合、機構ホームページで事業者名を含む是正指導内容を公表
- ・許可取消し・刑事告発:公表後も改善が見られない場合、特殊車両通行許可等の取消しや刑事告発
このほか、ETCコーポレートカードを利用する事業者は、違反点数の累積により大口・多頻度割引の停止措置を受ける場合があり、コスト面での打撃も小さくありません。社名の公表は取引先からの信用にも直結します。8月12日のNEXCO西日本の発表でも「悪質な違反者に対しては告発等も視野に入れた関係機関への情報提供を行う」と明記されており、公表・告発への流れは今後も続くとみられます。
車両管理担当者がとるべき4つの対策
自社が違反当事者にならないために、以下のポイントを確認しておきましょう。
- 1.特殊車両通行許可の内容を運行前に確認する:許可重量・通行経路・通行時間帯などの許可条件を逸脱すれば違反となります。許可証の内容をドライバーと配車担当で共有しましょう
- 2.積載重量を出荷時に管理する:荷主からの依頼であっても、運行者が違反の責任を問われます。過積載につながる無理な依頼は断る体制づくりが必要です
- 3.点呼・教育で車両制限令を周知する:一般的制限値(総重量25トン等)と自社車両の許可条件を、乗務前点呼や社内研修で繰り返し確認しましょう
- 4.警告書を受け取ったら即座に是正する:警告・是正指導の段階で改善すれば、公表や告発には至りません。指摘を放置しないことが最大の防御です
まとめ
- ・2026年8月、NEXCO東日本が重量超過車両の運転手を刑事告発(8月7日)、NEXCO西日本が繰り返し違反者への是正指導内容を公表(8月12日)
- ・告発事例は総重量60.1トンのセミトレーラで、許可重量32.95トンの約1.8倍という悪質な超過
- ・ペナルティは「警告書→是正指導→事業者名公表→許可取消し・刑事告発」と段階的に重くなり、大口・多頻度割引の停止につながる場合も
- ・許可条件の確認・積載管理・ドライバー教育・警告への迅速な対応が、法人を守る基本対策
重量超過は「バレなければよい」時代ではなく、社名公表・告発という形で経営リスクに直結する段階に入っています。この機会に自社の積載管理体制を点検してみてはいかがでしょうか。