ペダル踏み間違い時加速抑制装置の基準強化 クリープ走行・歩行者検知も対象に

駐車場や店舗前などで発生する「ペダル踏み間違い事故」は、高齢運転者に限らず、誰にでも起こりうる身近なリスクです。
こうした事故を防ぐため、国土交通省は令和8年1月9日、「道路運送車両の保安基準」を改正し、ペダル踏み間違い時加速抑制装置に関する基準を強化すると発表しました。
改正の背景
ペダル踏み間違い事故は、発進時や低速走行中に発生しやすく、重大な被害につながるケースも少なくありません。
従来の基準では「停止状態」からの急加速が主な対象でしたが、ブレーキを離した直後のクリープ走行中に発生する事故を十分に防ぎきれないという課題がありました。
こうした実態を踏まえ、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)において議論が進められ、国際基準の改正が合意されました。これを受け、国内基準についても改正が行われることとなりました。
主な改正のポイント
ペダル踏み間違い時加速抑制装置の性能要件を強化するとともに、義務付け対象となる車種が拡大されます。

(引用元:国土交通省)
クリープ走行時の踏み間違いも抑制対象に
今回の最大の変更点は、停止状態だけでなく、クリープ走行時からの急加速も抑制対象に加えられたことです。クリープ走行とは、オートマチック車(AT車)でブレーキを離した際に、アクセルを踏まなくても車両がゆっくり前進する状態を指します。
今回の改正により、駐車操作中や信号待ち後の発進など、事故が起きやすい場面における安全性の向上が期待されています。
検知対象に「歩行者」を追加
従来の基準では、検知対象は「車両」や「壁」に限られていました。改正後は、新たに「歩行者」が検知対象に追加されます。
これにより、店舗前や住宅地など、人の往来が多い場所での事故防止効果が高まると考えられています。
対象車種を貨物自動車まで拡大
義務付けの対象車種も拡大されます。これまで対象だった定員10人未満の乗用車(AT車)に加え、車両総重量3.5トン以下の貨物自動車(AT車)も新たに対象となります。
配送用の小型トラックや軽貨物車など、業務で使用される車両にも安全対策が広がる点が特徴です。
いつから適用されるのか
新型車と継続生産車で段階的に導入されます。
- ・新型車:令和12年(2030年)9月
- ・継続生産車:令和14年(2032年)9月
すでに使用中の車両に後付けを義務付けるものではありませんが、今後の車両更新時には、こうした安全装置を備えた車両が主流になると見込まれます。
技術の進化と運転者の意識
今回の基準強化により、ペダル踏み間違い事故のさらなる削減が期待されています。一方で、踏み間違いは高齢者だけでなく、疲労や焦りなどにより誰にでも起こりうるものです。
安全装置の進化は心強い支えとなりますが、低速時に慎重な操作を心がけるといった運転者の意識が、事故防止の基本であることに変わりはありません。技術を活かすのも、最終的には人の判断と行動です。
<引用:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000336.html>